非常勤講師の勤務の変化 私は、再任用職員の期間が終了して、2019年4月、県立逗子高校に10時間の非常勤講師として採用された。火曜日2時間、水曜日3時間、木曜日2時間、金曜日3時間の授業を担当し、授業が始まるまでに登校して、授業終了後帰宅していた。従って、授業以外で学校に滞在することは、試験問題作成、採点、成績処理をのぞくとほとんどなかった。給料は、50分授業を一コマとした計算で月額137,700円と決まっており交通費とともに毎月振り込まれた。 今年(2020年度)も、10時間の授業を担当することとなった。火曜日3時間、水曜日2時間、木曜日2時間、金曜日3時間であるが、今年度から会計年度任用職員となったため、前年度とは異なり、4月に管理職との話し合いをへて勤務時間が決められた。火曜日は8時25分~12時55分(4時間30分)、水曜日は9時15分~12時55分(3時間40分)、木曜日は8時25分~11時55分(3時間30分)、金曜日は8時25分~11時45分(3時間20分)で、週合計15時間の勤務時間(拘束時間)である。週当たりの勤務時間は、週当たりの授業数×1.5であり、週当たり4時間の授業ならば6時間勤務、週当たり6時間の授業ならば9時間勤務となる。給料は、時給2,515円×15=37,725円がだいたい週あたりの額となった。昨年度までは、祝祭日や休業日があろうがなかろうが、月額137,700円が交通費とともに振り込まれたが、今年度からは、勤務した時間に対して翌月支払われるようになった。勤務ができない祝祭日(例えば、5月の連休)や年末年始休業などをそのままにしておくと給料は減額される。そこで、勤務日にあたっている祝祭日や12月29日~1月3日の休業日を別の日に振り替えて勤務するという形で給料を確保していくことになる。私の場合、月曜日に勤務がないので、月曜日に振り替えて出勤した。なお、今年度は組合の努力でコロナウイルス対応のための在宅勤務が認められていたので、振り替えた日を在宅勤務にすることも可能であった。 一時金は、6月に0.95ヶ月分、12月に2.25ヶ月分支給された。支給基準として、週11時間以上の授業数、週15.5時間以上の勤務とあったので、週15時間勤務の私には支給されないと思っていたら、62時間以上勤務する月が、1回以上あれば支給されるとの事項で支給された。再任用職員の2倍程度支給され、何かの間違いかと事務長に確認したほどびっくりした。再任用職員の一時金は国で決まっているが、会計年度任用職員は国に規定がなく、県労連賃金確定交渉で支給されるようになったとのこと。組合万歳! 今年から通常の職員はパソコン上で、出勤、退勤等の手続きが行われるようになった。非常勤講師についてはそこまでは要求されてなく、今まで通り出勤簿・年休簿がある。しかし、勤務時間に応じて給料が払われるようになると、勤務時間の厳密性が強まる気がする。現段階では事務室が管理する出勤簿と管理職のつくる振り替え簿で勤務時間が計算されているようであるが、すぐにパソコン上の処理に代わっていくであろう。 これ以外にも、年次休暇、夏季休暇等、以前より充実した。その代わり、勤務においてあいまいで緩かであった部分がなくなっていった。結論的には、非常勤講師(会計年度任用職員)は、年寄りにはきつい不自由な仕事に変化していくようである。政治上の活動等も常勤同様の制限を受けることとなり、処分も同様のようである。ただ、会計年度任用職員の制度は今年度から導入されたもので、管理職が、その制度の詳細をわかっていない場合も多く(理解できるような人材は管理職に登用されていない)、数年は、きつく不自由な仕事への変化は緩やかなものになるかもしれない。 このように様変わりした非常勤講師(会計年度任用職員)ではあるが、非常勤講師になるためにはどのような道筋があるのだろうか。最も公的な道筋は、履歴書を書き神奈川県教育委員会に登録する方法である。いったん登録すると2年間有効である。しかし、この登録制度がどのように運用されているのかはよくわからない。教員採用試験で不合格になり、何のつてもない若い人たちの登録が多いのではないだろうか。また、組合に登録すると、組合のホームページ上に公開され、それを通じて非常勤講師の依頼が来ることもある。非常勤講師を希望する組合員にとって有効な方法である。それ以外にも非常勤講師になる道筋はある。現任校の校長に、来年度、非常勤講師を希望している旨を伝えておくと、校長から非常勤講師を求めている個別の高校名や、その高校が求めている時間数などが伝えられる。校長同士のネットワークで、非常勤講師の需要や供給の情報がやり取りされているようである。この道筋では、即座に校長との面接の日程が決まることも多い。また、知り合いの教員などから非常勤講師を依頼されるケースもしばしばある。もちろん、非常勤講師の需要は教科によって大きく異なっていることは理解しておかなければならない。(石橋 功) |
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