2018年度の活動を振り返って
裁量労働制をめぐる厚生労働省のデータの改竄、財務省による森友学園の決裁文書の改竄、防衛省で不存在とされていた陸上自衛隊のイラク派兵「日報」が存在することが判明。さらに加計学園の獣医学部設置計画で「首相案件」と明記された愛媛県の文書まで出てきましたが、安倍首相は「丁寧に説明する」という言葉を繰り返すだけで、何一つ明らかにならないまま、「高度プロフェッショナル制度」や「カジノ法」などが次々に強行採決され、7月22日には通常国会が閉幕しました。さらに、8月には中央省庁で障害者雇用割合を水増ししていた問題が発覚、臨時国会が始まると11月には法務省による失踪した外国人技能実習生からの聴取票の集計結果捏造、2019年1月には毎月勤労統計の不正・偽装調査など政府統計の不適切処理が相次いで発覚しました。しかし、質問にまともに答えない、真相究明のために野党が要求した資料は出さない、担当者は早々と人事異動させて国会招致させないなど、この内閣を形容する言葉はもはや卑劣とか姑息ではなく「凶悪」だと言った議員がいましたが、まさにその通りです。安倍政権下での公文書捏造、改竄、隠蔽は底なしの状態。絶対に、このままうやむやのままで幕引きさせてはなりません。
沖縄では9月30日に行なわれた知事選挙、2月24日に行われた県民投票と2度にわたって、明確に新基地反対の民意が示されました。若者を中心とした投票を呼びかける運動、意見の違う人たちとも対話をしようとする熱心な取り組みは、海外からも辺野古に注目が集まるきっかけになりました。政府は12月14日に土砂投入を開始しましたが、いつ完成するのか、どのくらい費用が膨らむのか、まったくわからない工事を進めることなど許してはなりません。今度は沖縄以外に住む私たちが怒りを示す番ではないでしょうか。
NHKの政治報道がおかしいという指摘が学者などから上がっています。3月1日の厚労大臣不信任決議案の野党の趣旨説明について悪意ある切り取り編集が行われたり、3月4日の野党議員の辺野古埋め立て計画の杜撰さを追及する質疑をまったく取り上げなかったり、とNHKの「政府広報」化は開き直った観さえあると批判しています。また、菅官房長官は会見で特定の記者の質問を「事実誤認」「問題行為」と決めつけて、「あなたに答える必要はない」と言い放ちました。これはすべての市民に向けられた刃です。報道は民主主義の基礎、公正な情報なくして国民は的確な政治判断を下すことができません。こうした政権と報道機関の関係を変えていかなくてはなりません。3月14日、マスコミ関連の労組が弾圧をやめるよう首相官邸前で抗議の声をあげました。現場の記者たちが真実をしっかり報道できるよう、私たちも声をあげ、後押ししていきましょう。
安倍政権を終わらせ、立憲主義を取り戻すために、あきらめず、若い人たちとも力を合わせて、ねばり強い運動を展開していきましょう。
1.
組織拡大・充実、組織体制の整備を目指す取り組み
2018年度には275名の新会員を迎えました。会報を年3回発行し、総会の出欠はがきに寄せられた会員の声を会報に「会員の今」として掲載したり、「シニアライフ」コーナーなどで会員の様々な活動を紹介してきました。
財政については、これまで神高教からの支援金や損害保険(フジダナサービス)事務手数料を充ててきましたが、フジダナサービスの業務が高校教育会館に移管されたため、手数料収入がなくなり、厳しい状況になっています。会員のみなさまからの「高校生平和大使カンパ」「日退教連帯カンパ」や「シニア運動の運営カンパ」、神高教指示に基づく行動への参加補助などを活動費に充てていますが、工夫をしながら活動を継続していきたいと思います。
2.
神高教・上部団体の活動方針を踏まえた諸活動への取り組み
(1)自民党総裁三選を果たした安倍首相は、内閣・党人事において露骨な改憲シフトを敷きました。また、憲法9条に自衛隊の根拠規定を明記する改憲への意欲を改めて示しました。しかし、臨時国会での「改憲4項目」の条文案提示という安倍首相の悲願は果たせず、国民投票法改正案の臨時国会での成立も断念しました。市民と野党の共闘により改憲案提示強行を食い止めたことは大きな成果です。県内各駅頭で行われた「憲法を生かす全国統一署名街宣行動」、「2018憲法を考える5.3県民集会」、「平和といのちと人権を!5.3憲法集会2018」、「改憲させない神奈川の集い(12/17)」、「STOP改憲!かながわ大集会(2/23)」に大勢のシニア運動会員が参加しました。引き続き憲法改悪阻止に向けた取り組み、世論に訴える取り組みが必要です。
(2)4月27日の歴史的な南北首脳会談、トランプ大統領と金委員長との米朝首脳会談を経て、政府は今年度予定していたJアラートによる住民避難訓練を中止しました。しかし、12月18日には「防衛計画の大綱」とそれに基づく「中期防衛力整備計画」を閣議決定しました。集団的自衛権容認や安保関連法の制定など安倍政権が変質させた防衛政策を追認し、5年間で過去最大の27兆5千億円を計上しています。「いずも」型護衛艦の「多用途護衛艦」への改修、F35ステルス戦闘機105機の追加配備、地上型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」整備を明記するなど、安保法の具体化を加速させています。引き続き、神高教・日退教とともに安保法、共謀罪法廃止をめざして取り組む必要があります。
(3)沖縄知事選挙で新基地反対を掲げた玉城デニー氏が、8万票の大差で圧勝し、2月24日の県民投票では、米軍基地建設のための辺野古埋め立て反対が43万4273票で投票総数の71.7%にもなりました。しかし、政府は沖縄の「ノー」をまったく無視して12月14日に土砂投入を開始しました。沖縄県が指摘してきた2万本もの砂杭を打ち込む軟弱地盤の改良工事は困難であること、工事費用が大きく膨らみ2兆5千億円にもなること、などを無視しての強行でしたが、1月には防衛省自身が地盤改良のため、砂杭7.7万本を打ち込む工事を計画していることがわかりました。軟弱層の最深は水面下90mともいわれ、前例のない工事になります。「美ら海壊すな 土砂で埋めるな 国会包囲行動(5/26)」、「埋めるな!辺野古 沖縄県民大会に呼応する8.11首都圏大行動」、「辺野古土砂投入阻止 防衛省前抗議行動(12/13)」、「辺野古新基地建設反対!首相官邸前アクション(3/16)」などに積極的に参加しました。沖縄市民への不当な弾圧に反対し、辺野古新基地をつくらせない市民の闘いを支援し、沖縄とともに取り組みましょう。
オスプレイは普天間基地に24機、横田基地に10機、佐賀空港に17機が配備される予定で、安全性への懸念が強い欠陥機が我が物顔で51機も首都圏上空を飛び回ることになります。「オスプレイ飛ばすな!6.5首都圏行動」、「オスプレイの横田基地配備に反対する6.17東京集会」、「ヨコスカ母校化反対 全国集会(10/1)」などに参加しました。
(4)原子力規制委員会は11月7日、日本原電東海第2原発について最長20年の運転延長を許可しました。30㎞県内に約96万人が暮らしており、避難計画づくりも難航しています。周辺6市町村が再稼働に同意する見通しは立っていません。インド・トルコに続き、英国でも原子力発電所の建設計画が中止になり、政府が推し進めてきた日本の原発輸出計画は完全に頓挫しました。「原発ゼロ基本法の制定をめざす市民の集い(6/28)」、「さようなら原発全国集会(9/17)」、「さようなら原発全国集会(3/21)」に大勢のシニア運動会員が参加しました。原発廃止に向けた取り組み、原発の再稼働・輸出を許さないために様々な運動に取り組みましょう。
(5)再任用者、退職臨時任用者、非常勤職員など定年後の教職員が生活できる賃金の保障、労働条件の改善、安心して働ける環境整備に神高教とともに取り組んできました。継続課題となっていた再任用教諭(教育職2級フルタイム)の給与月額は2019年4月から3,200円引き上げられることになりました。引き続き、定年引上げと連動して、再任用給与水準の改善に取り組む必要があります。シニア運動交流会では、昨年に続き「再任用者と雇用(失業)保険」について報告し、再任用を退職した時は忘れずに申請するよう呼びかけました。
(6)年金・医療・介護などの諸課題解決に向けて様々な場で取り組んできました。「9.11地公三単産・地公退高齢者集会」、「9.12全国高齢者集会」などに積極的に参加しました。高齢期の暮らしが心豊かで生き甲斐あるものにするため、年金・介護・医療制度などの改善をめざして運動を進めることの重要性を確認することができました。
(7)神奈川の教育の諸課題の解決に向けての取り組みについては、「第61次教育研究集会(12/1)」、「高校教育会館2018討論集会(11/11)」に参加して現役世代との交流を深めました。また、「教科書について考える市民の集い(6/2)」、「教科書市民フォーラム講演会(11/21)」などに参加し、新科目「公共」、「歴史総合」の問題点、新学習指導要領の問題点について理解を深めました。
(8)日退教の第47回定期総会が6月8日に開催され、運動方針を確立しました。また、日退教組織活動交流集会(10/12)では昨年に引き続き、「再任用者と雇用(失業)保険」についてのレポートを発表しました。沖縄と連帯する日退教第9次沖縄交流団(4/23~24)にはシニア運動から5名が参加、日退教東アジア研修旅行(10/15~19)に2名、日退教第3回福島学習の旅(11/25~26)に2名が参加しました。日退教が呼びかけた「日退教連帯カンパ」には会員からのカンパ10万円を寄付しました。
県内の退職者労働組合で組織されている神奈川シニア連合第27回定期総会(11/21)、第29回神奈川シニア集会(3/22)に参加して、県内労働組合の退職者組織との交流を図ってきました。神奈川シニア連合施設見学会(6/22 東芝未来科学館)、神奈川シニア連合視察体験旅行(10/15~16 JAXA筑波宇宙センター)にも参加しました。
(9)森友学園・加計学園に象徴される、安倍政権の独裁的・権力を私物化する政権運営を許さない取り組み、政権による国民の知る権利の否定、シビリアンコントロールの否定を許さない取り組みでは、総がかり行動が呼びかける「森友学園疑惑徹底追及!安倍内閣は総辞職!国会前連続行動」、「毎月の19日行動」に毎回大勢のシニア運動会員が参加し、ねばり強く取り組みました。多くの若者・市民と連携し、野党共闘を支えて何としても安倍政権を退陣させましょう。
3.若者・子ども支援の取り組み
若者支援については、神高教が中心になり、2014年に立ち上げた「生徒・若者支援センター」にシニア運動も団体会員となり、様々な困難を抱えている生徒・若者に対して手厚い支援ができる環境づくりを目指して積極的に関わってきました。6月9日に開催されたかながわ生徒・若者支援センター総会・「高校内カフェ・サミット」では講演、報告が行われ、高校内カフェの取り組みに注目が集まりました。
「高校生平和大使」派遣運動への協力の取り組みについてはカンパを中心に取り組み、10万円を寄付しました。また、シニア運動会員がかかわっている福島の子どもたちを神奈川での保養に招く活動をしている3つの団体(福島こども・こらっせ神奈川、福島の子どもたちとともに川崎市民の会、福島の子どもたちとともに・西湘の会)に5万円ずつ寄付をしました。
4.
地方自治、市民運動を担う取り組み
地方自治、市民運動を担う取り組みについては、労働相談ネットワーク運動に参加してきました。神奈川労働相談ネットワークは神高教、国労、自治労などの県内労組と労災職業病センター、神奈川ユニオン協議会などで構成されています。また、県内の教育支援や各種ボランティア組織を会報・ホームページなどで紹介し、「県民のいのちとくらしを守る共同委員会(略称:いのくら)」の活動にも積極的に参加してきました。津久井やまゆり園で19人もの重度障害者の命が奪われた凄惨な事件を風化させないため、「『やまゆり』からいのちを問い続ける第2回横浜フォーラム」が8月4日に開催されました。シニア運動は神高教とともにこのフォーラムの実行委員会に参加しています。
5.「シニア運動」活動交流を進める取り組み
(1)「かながわ中央メーデー」、「神奈川地域労働運動交流メーデー」さらに「神高教教研集会」などの神高教の運動に可能なところから積極的に参加し、現役世代との交流を深めてきました。
(2)ホームページに記載された案内を見て各種要請行動に参加する会員が増えています。積極的な利用を推進するために「掲示板」コーナーも開設してきました。また、現職者を交えての交流会(11/17)は10回目になり、現役9名を含む36名の参加者で退職後の様々な生活などについて情報交換するなど、会員の交流を図りました。さらに、神高教退職予定者説明会(1/19)に役員が手伝いで参加し、退職1年目のシニア会員対象の税務説明会(2/9)でも、確定申告書き方の説明の補助をしました。年金支給開始が63歳以降となる中で再任用として勤務する人が増え、「退職1年目では年末調整をするために確定申告は必要ない。再任用を辞めた時に改めて説明を聞きたい」という要望が寄せられたため、退職2年目以降のシニア運動会員にも参加を呼びかけました。退職4年目・5年目の会員8人の説明会への参加がありました。3月29日に開催された神高教退職者パーティーで「神高教シニア運動」への参加についてアピールしました。
(3)研究会・同好会については、現在ゴルフ同好会と写真同好会が活動しており、ゴルフ大会の開催、神奈川県内各地での写真撮影会などを行って交流を深めています。高校教育会館入口には写真同好会会員の撮影した写真を展示しています。今後の発展と新しい会の設立が期待されます。
|